響き合う 人ｘ企業 JOBRASS新卒

姫路獨協大学は、一昨年、開学25周年を迎えました。獨協学園としても130周年の節目を迎え、これを機に校舎の外装などをリニューアルし、教室もさらに快適に使えるように現在工事を進めています。市内で唯一の文理が融合した総合大学として、学園の初代学長であった天野貞祐の「大学は学問を通じての人間形成の場である」という建学の理念に基づき、教職員が一致団結して人間性豊かな人材の育成を目指しています。姫路市の協力の下に設立された本学は、今も地域との交流を大切に、さまざまなサポートを得て発展しています。
都心部から少し離れた立地のため、学習する環境としては申し分ないのですが、学生は少しのんびりしているでしょうか。最近の傾向かもしれませんが、消極的な学生が増えていると感じます。医療系の学生は目的がはっきりしているため、模擬面接や履歴書の指導をメインに、文系の学生は進路の相談でキャリアセンターを多く利用しています。文系だけを見ると学生数もそれほど多くないため、目が行き届いたサポートができていると思います。

キャリアセンター課長の實友さん。学園の130周年や姫路の再開発を契機に、より一層、就職支援に力を入れている。

今までは、3年生の4月から月に1回土曜に就職関連のガイダンスを行っていましたが、学生の参加率が低く頭を悩ませていました。教務とも相談し、火曜のカリキュラムに組み込むことで参加率を上げ、学生全体の意欲・能力の向上を図っています。火曜はゼミがあるため引き続きガイダンスへ参加しやすく、「チューズデー＝キャリアデー」の浸透を期待しています。
また、今年の秋から空いた土曜に就活塾「天野塾」を開催し、半年程度をかけて一歩進んだ学生を育てたいと考えています。まだ構想段階の部分もありますが、ビデオで自身の面接を録画してフィードバックしたり、より深い企業研究を行ったり、就職合宿で行っていた内容をさらに充実させていく予定です。参加学生へは、キャリアセンターからいち早く適した求人を案内できると思います。また、女子学生に向けたメイクアップ講座や人気の航空業界セミナー、就職情報サイトの活用法講座など、土曜にオプションとして開催していた各種セミナーや講座も、火曜に移行していきたいと考えています。
授業の中では、まず1～2年次に、キャリア形成概論で、どのように学生生活を充実させ将来の自分をつくりあげるのか、現代社会の状況を踏まえた上で考えていきます。キャリア形成各論では、地元企業の協力を得て求められる人材などをお話しいただきます。地元企業との太いパイプを誇る本学ならではの取り組みだと思います。2年生からは、少人数のグループで企業研究やテーマに沿ったディスカッションなどを自分たちで行うキャリア形成ワークショップも始まります。その後、インターンシップです。ここでも多数の地元企業に協力いただいています。地元企業の方からは、学生の良い面だけでなく悪い面も厳しい視点でご指摘いただけるのでありがたいですね。ただ、何かやったということが学生の自信になるので、自ら手を挙げた学生にはなんとかして成功体験を積ませてあげたいと思っています。加えて、公務員を目指す学生に向けた特別講座や、筆記試験対策の特別演習も設けています。これらの授業は、上限はありますが単位に認められるのが本学の特徴でもあります。
また、15年ほど前から、大阪で行われる合同企業説明会へバスをチャーターして参加しています。普段リクルートスーツを目にすることも少ない学生たちが、説明会の熱気を肌で感じ、意識を高める良い機会になっています。

広大な敷地に文理5つの学部を設置。リニューアルが進むキレイな校舎で、学生たちはノビノビと学び、課外活動に打ち込んでいる。

以前はカウンセリング専門のキャリア支援員を外部から招いたこともありましたが、今は我々大学のスタッフがマンツーマンでカウンセリングや履歴書の添削を行っています。私も含めてCDAを持つスタッフも数名います。私たちは、カウンセリングのノウハウだけで相談を受けるのではありません。「採用」だけでなく「教育」という側面からも学生たちを見て、アドバイスを行います。教育現場の実情をよく知る大学の人間なら、「その企業なら3年前にも就職した学生がいる」「OBを紹介できる」と、すぐ次へとつなげられる利点もあります。
心がけているのは、本人の考えを否定しないことです。傾聴・共感・一致というカウンセリングの基本を大切にサポートするよう、スタッフにも求めています。その上で、学生には「就職の主役はあなただ」と、声をかけるようにしています。基本的な質疑応答の部分はキャリアセンターでカバーできますが、その学生が生きてきた20数年は自分で表現しなければいけません。ゼミの教授を通じてセンターの利用を促すこともありますが、ぜひ自主的に動いてほしいですね。
自主的に動いていた学生の中で、少林寺拳法部のキャプテンを務めていた女子学生が印象に残っています。ファッション関係に興味があり、販売職でなく企画がしたいと強い志を持っていました。最初から企画職は難しいだろうと話していましたが、やりたいことがはっきりしていたので、アルバイトの販売経験をアピールすればいいのではとアドバイスしました。見事、希望通り企画職でアパレル企業に採用され、すごいなぁと思いましたね。卒業後も仕事の楽しさを報告してくれ、OBとしてセミナーで後輩たちに体験を話してくれました。

姫路という半分田舎、半分都会のような都市で学び育った学生は、非常に純朴なやさしい子が多いと思います。反面、競争を苦手とする学生も多いと思うのですが、そこは大目に見ていただき性格の良さを見てほしいですね。採用いただいたら、いい学生だと必ず分かっていただけます。特におっとりしている文系の学生も、職業意識の高い医療系の学部と刺激し合い職業意識が芽生えてきました。来年以降、医療系新学部の設置も予定しており、相乗効果でますます学生たちが育ってくれることと思います。姫路城の改修や姫路駅の周辺開発も進み、これから先、本学で学ぶ学生たちの活躍の場は広がっていきます。今まで以上に地域と連携して学生を送り出したいと思いますので、よろしくお願いします。