響き合う 人x企業 JOBRASS新卒

学生の就職活動を応援 大学キャリアセンターインタビュー

vol.

24

横浜美術大学

我が校の特徴
専門的に学んだデザインやクリエイティビティを“社会の中”で活かしていく。
応用の利く技術と柔軟さを持ち合わせた人材が育っています。
設置学部
【美術学部】美術学科
絵画コース、彫刻コース(2014年度より新設)、クラフトコース、プロダクトデザインコース(2014年度より新設)、テキスタイルデザインコース、グラフィックデザインコース(2014年度よりビジュアルコミュニケーションデザインコースに名称変更)、映像メディアデザインコース、イラストレーションコース
横浜美術大学

「顔が見える教育」を実践

就職担当の門田さん(写真:左)と石黒さん(写真:右)。
「感受性豊かな学生たち。彼らの中にある“原石”を、企業の方々に見つけていただけたら嬉しいですね」

「人間の創造活動の根源を培う美術教育こそ本来の教育の姿である」
その建学理念をもとに、本学では社会の要求を感性でとらえ、創造的に社会貢献できる人材を育成しています。

1年次では、美術に関する様々な分野への導入の役割を果たす、A系(絵画・彫刻)、C系(クラフトデザイン)、V系(ビジュアルデザイン)の3つのカリキュラムモデルから選択。そこで学んだことをもとに、2年次からは自分の進みたい8つの専門コースを選択できます。
入学時に選んだ分野で4年間勉強するのが一般的だと思いますが、本学では途中からのコース変更も可能。例えば「絵を描くのが好き、というきっかけで入ってきたけれど、やってみたら立体をつくるのが面白くなった」などの興味の変化にも対応しています。
1学年190名という少人数の“顔が見える教育”を実践しているため、個人個人の要望をフレキシブルに聞くことができ、「4年間ミスマッチを感じながら過ごす」といったことを防いでいます。卒業時には皆、自分のやりたいことを突き詰められる環境に身を置いています。

■■ハマビにはこんな学生がいます!■■
「美大生」というと、“個性的で自己主張が強い”というイメージを持たれがちですが、本学の学生は非常に素直ですね。もちろん、自分が勉強してきたことや、ものづくりに対してのこだわり・芯の強さは持っているのですが、人の話をキチンと聞く姿勢があり、接していても非常に真っ直ぐだと感じます。
自然に囲まれたこの環境も影響しているのでしょうか、オープンキャンパスに来た時に「ここでだったら自分を出せるかもしれない」「ここでなら伸び伸びと創作活動に取り組めるかもしれない」と感じて入学してくるので、どちらかというと落ち着いたタイプが多いですね。

まずは企業の探し方から伝授!

現代ではデジタルスキルが必須。本学には、全てのカリキュラムモデルにおいて、デジタルスキルを学ぶ「デジタルリテラシー科目」があります。

就職活動がスタートすると、大半の学生が就活サイトを見て検索をします。しかし「デザイナー」だけで探しても見つからないし、求人数も少ない。はるかに他の職種の方が多い・・・ということでそのまま就活をやめてしまうことも少なくありません。

その現状を踏まえて、私たちはまず企業の探し方から教えています。
例えば「本のデザインをやりたい」「ブックカバーのデザインをやりたい」となった時には卒業生がつくったものを見せて、大きな会社でなくてもこういう仕事ができるんだよ、と伝えたり、就職相談室に来た学生には必ず求人票を持って帰らせるようにしています。

学生の第一志望はクリエイティブ、それも紙媒体の広告志望が多いですね。次にゲーム業界も人気があります。職種でいうと「グラフィックデザイナー」や「ゲームデザイナー」。
求人数が多いのはWeb関係の仕事なので、学生側がもう少し早くWeb業界を選択肢に入れてくれると、世界も広がるのですが。

また一歩踏み出せず、ポートフォリオを企業に持っていけない学生もいるので、「素晴らしい作品をつくっているのだから、自信を持って!」と背中を押すこともあります。
全体的に学生自体がのんびりしていて、「周りの皆も決まってないからまだあせらなくても・・・」という声を聞くので、もう少し早く動くようにとアドバイスしています。「履歴書を添削してほしい」と持ってきても、あと一週間早ければもっと準備ができたのに、と思う場面が多々あるんですよ。

■■資格取得を支援!■■
本学では「クリエイター能力試験(PhotoshopとIllustratorの能力試験)」の資格取得を推奨。また、「ウェブデザイン実務士」の資格が授業の単位として取得できます。絵画を専攻している学生がこの資格を取って、ウェブデザイナーとして就職する、ということもあります。
企業様によっては「学生の今の時点でのスキルが高くなくても、ソフトの進歩でいくらでも追いつける。それよりも、元々持ったクリエイティビティを評価する」と言ってくださることもあり、非常に有り難いですね。

社会で活かせるセンス&スキル

就職活動を始めた学生には、職種に固執し過ぎずに、視野を広く持つようアドバイスしています。
「グラフィックデザイナー」という職種だけで探すと、なかなか難しい。ですが、例えば「一般事務」という職種でも、業務の中でポスターの絵を描いたり、POPをつくったりといった、自分のスキルを活かせる場面があるかもしれません。そんな風に可能性を広げながら様々な企業を見てほしいと思っています。

実際にあった例なのですが・・・。介護関係の仕事に就いた卒業生が、職員の似顔絵を描いて“私たちがお世話します”と表現したり、季節のイベントの時に絵を描いたりしているそうです。「介護の仕事が9割だけど、あとの1割で今まで勉強してきたことを役立てて、人に喜んでもらえるのが嬉しい」と話していました。
また、インターンシップに行った学生から、「かわいいPOPや分かりやすいメニュー表をつくったらすごく喜んでもらえた。こういう風に仕事ができたらいいな」という声を聞いたり、企業の方に「美大生だとこんなことができるんだ」と褒めていただくこともあります。
素人ではなく専門的に勉強しているので、POP1つ・ポスター1つにしても、クオリティの高いものができるんですよね。「絵が描ける」「デザインができる」というのは、いろいろな所で必要とされる能力です。そんなスキルやセンスを持った社員がいることは、一般の企業様にとってもメリットになるのではないでしょうか。

学生自身にも「この職種じゃないと嫌」「絵を描いているから就職できない」というのではなくて、その力を活かせる道があることを知ってもらいたいですし、企業の皆様にも社会の中で役に立つクリエイティビティを身につけた学生がいることを、もっと知っていただけたらと思います。

美大生ならではの葛藤も

未来のことは断言できない。だからこそ、進路に迷った時には学生自身にハンドルを切ってもらうしかありません。
多くの学生がぶつかる壁として、「創作活動を自分の生活の中でどれくらいの割合にしたいのか」ということがあります。また、女子学生も多いので、残業や土日出勤があるデザイナーの仕事をバリバリしていくべきか、結婚後も働き続けられる職場を求めるべきか、ということでも迷いが生じるようです。
多少やりたいこととは離れていても、生活のために安定した職に就くのか。それとも絵を描いたり、ものをつくったりということを生活のメインにしていくのか。自分が4月からどのように生きていきたいのかイメージできるように、私たちも具体的に話を聞いて指導を行っています。

卒業生の中には、平日は一般企業で働き、土日に展覧会へ出品している人もいますし、絵を描くことは趣味で良いと割り切っている人もいます。また就職はせず、自分の名を残すような作品をつくり続けたい、という人もいます。
私たちは、実際の卒業生の例を出しながら、将来について考えられる“材料”を学生に提供するようにしています。相談に来たら必ず何かを得られる、というようにしたいですね。

余談ですが、最近何回か相談に来てくれている3年生の女子学生たちが「ここ(就職相談室)は落ち着くんだよね」と言ってくれました。「ここに来ると将来が見える、将来が不安じゃなくなる」「こんなこともできるんだ、あんなこともできるんだって思える」彼女たちにそう感じてもらえたことが嬉しかったですね。「将来を考えるのは楽しいことなんだ」と思える場所を、今後もつくっていきたいと思います。

トーナメントではなくリーグ戦で

“美大生”“デザイナー志望”というと、自分のやりたいことしかやらない、と思われがちですが、本学の学生は「何でもやってみます」というタイプが多いです。自分の「我」を出すというよりは、一歩引いて馴染んでいく感じですね。
例えば企業内の広報としてデザインをやりたいとか、相手の要望を聞いてそれをきれいにまとめて表現したいとか、そちらの要素の方が強いです。

企業の皆様には、採用をする際、学生を“トーナメント戦”ではなく“リーグ戦”で見ていただきたいですね。1回の面接やグループディスカッションで「消極的だったから敗退」というのではなく、様々な角度から学生を見て判断していただけたらと思います。

本学の学生は、ユニークな発想やアイデア・人と違った考え方を、パッと見でわかるように表現することを勉強してきているため、逆に言葉で伝えることが得意でなかったり、文章を書くのが苦手だったりします。しかし、強い目的意識を持って、自分の目指すことを追求してきていますので、芯の強さがあります。ぜひ、今後の伸びしろを含めて期待していただきたいと思います。

横浜美術大学

横浜美術大学

所在地 〒227-0033 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1204
URL http://www.yokohama-art.ac.jp
学部 【美術学部】美術学科
絵画コース、彫刻コース(2014年度より新設)、クラフトコース、プロダクトデザインコース(2014年度より新設)、テキスタイルデザインコース、グラフィックデザインコース(2014年度よりビジュアルコミュニケーションデザインコースに名称変更)、映像メディアデザインコース、イラストレーションコース
このページのTOPへ