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目次

再生医療とは?
再生医療の安全性は?
再生医療はこんな方にオススメ
PRP療法(多血小板血漿)とは?
PRP療法のメリット・デメリット
自己脂肪由来幹細胞治療とは?
自己脂肪由来幹細胞治療のメリット・デメリット
PRP療法(多血小板血漿)と自己脂肪由来幹細胞治療の違いについて

PRP(多血小板血漿)療法と自己脂肪由来幹細胞治療の違いとは

再生医療とは?
再生医療とは?

再生医療とは自然治癒力を高め、失われた細胞・組織・器官を再生させて機能を回復させる先進医療です。

再生医療には三つの分類があります。第一種はES細胞(embryonic stem cell)やiPS細胞(induced pluripotent stem cell)を使う治療法で、受精卵や他人の細胞を使って細胞を培養・移植します。第二種は幹細胞を使う治療法で、自分の細胞を培養・移植します。第三種は多血小板血漿を利用した治療法で、自分の細胞を培養・移植します。

再生医療の多くは基礎研究の段階で、第一種の治療法は現段階でヒトに実施されたケースが少なく、倫理面の問題・腫瘍化の恐れがあるため、リスクが少ない第二種・第三種の治療法が選択されます。

再生医療の安全性は?

再生医療を行うには厚生労働省の認可が必要であり、再生医療等の安全性の確保等に関する法律にのっとり、厚生労働省より認可を受けた安全な治療法ということになります。認可された医療機関は厚生労働省HPからご確認頂けます。

参照:再生医療等提供機関一覧 厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186471.html
(2021/6/2 9:00閲覧)

再生医療はこんな方にオススメ

再生医療は最先端の医療で、皮膚を怪我するとかさぶたを作るような修復力と、新たな皮膚を生成し、”自然と傷が治る”ような再生力を高める治療法になります。再生医療により組織の修復と、傷んだ組織を新しく再生することから以下のような方にオススメです。


膝や股関節の疾患
変形性膝関節症や変形性股関節症と診断され、ヒアルロン酸の注射やリハビリなど、いろんな手を尽くしても痛みが取れない方や、人工関節置換術を勧められたけどやりたくない、または手術ができない方に再生医療という新しい選択肢があります。

糖尿病
これまで糖尿病は一生治らない病気とされてきました。しかし再生医療により自分の細胞を増やし、その細胞を体に戻すことで弱った膵臓の機能を再生させ、インシュリンの出が良くなったり、糖尿病の薬が必要で無くなったり、インシュリンの注射が必要で無くなる人もいらっしゃいます。

脳卒中
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、脳卒中になると脳の血管に障害が起こり、機能不全がみられます。再生医療では脳機能の後遺症を改善させることが分かっています。

肝臓病
肝臓は沈黙の臓器と言われ、病気が発覚した頃にはすでに病気の程度が進行して、重症化していることが多い場所です。再生医療により細胞を蘇らせ、肝機能を元に戻すことを目的に治療が行われます。

脊髄損傷
交通事故など大きな外力が加わることで、全身を司る脳からの神経が損傷されます。すると、思うように手足が動かせなくなるほか、排尿・排便に障害が出てきます。障害の程度が大きければ寝たきりでの生活や、車椅子での生活を送るほか無かったのですが、再生医療により後遺症が回復した事例が数多く報告されています。


医療は日々進歩しており、治らないと言われている病気でも良くなる可能性があります。次に再生医療の具体的な治療法であるPRP療法と自己脂肪由来幹細胞治療の違いを解説します。

PRP療法(多血小板血漿)とは?
PRP療法(多血小板血漿)とは?

体の血液の血小板を利用した治療法です。血液は細胞成分である赤血球・白血球・血小板と、血漿成分である血漿からなります。この内、傷口を血液で凝固させ止血作用がある血小板成分を集めて体に戻すことで、自分の傷を治す力を高めて修復する能力を促進する治療法がPRP療法です。

こんな方におすすめです
・膝や肩などの関節の痛みが取れない
・今の治療に成果を感じない
・慢性化した痛みを治したい
・スポーツをしていて怪我をしたけど早く復帰したい
・薬剤アレルギーがあり治療ができない

治療の流れ
必要な分(10~20cc程度)の血液を採血し、取り出した血液を遠心分離機にかけます。遠心分離機によって血液はいくつかの層に分かれますが、血小板成分が多い血漿(多血小板血漿)だけを抽出し患部に注射します。

PRP療法は最新医療なので、「難しい治療では?」と不安に思うかもしれませんが、厚生労働省から認可された安全な治療法であり、患者様にして頂く準備や大きな検査は必要でありません。また採血から注射までは約30分で終わります。

治療後の痛みは3~4日は炎症が生じて痛みを伴うこともありますが、自然治癒を促す過程の反応であり、その後の痛みは消えていくので心配する必要はありません。

PRP療法のメリット・デメリット

PRP療法のメリット・デメリットを紹介します。

PRP療法のメリット
・痛みが少ない注射での治療
・自分の血液を使うのでアレルギーの副作用リスクが少ない
・入院することなく日帰りで行える
・痛み止めの注射では取れなかった難治性の疾患に対し除痛効果が期待できる

PRP療法のデメリット
・自己脂肪由来幹細胞治療と比べると安価だが、保険が効かない
・注射後3~4日は炎症が生じて痛みを伴うことがある


PRP療法まとめ
PRP療法は組織の修復を促し、患者様自身の自然治癒力を高めることが特徴です。PRP療法は主に肩や膝・股関節の疾患、スポーツでの怪我に対して選択されます。これまでの肩や膝・股関節の疾患に対しては、ヒアルロン酸注射や人工関節置換術が行われ、スポーツの怪我に対しては手術が勧められてきました。

しかし、ヒアルロン酸注射の効果は一時的であり、手術を受けた場合でも復帰までに時間がかかり、元のパフォーマンスを発揮できるかどうかは分かりませんでした。 PRP療法では自身の修復する力を高めることができ、怪我をする以前の生活を送れる可能性があります。

自己脂肪由来幹細胞治療とは?
自己脂肪由来幹細胞治療とは?

幹細胞は木の幹という字を書くように、血管・神経・骨・筋肉など様々な細胞に分化(変化)する能力があります。トカゲの尻尾が切れても数日すると生えてくるのも幹細胞によって再生されます。このように幹細胞にある分化する力と、自己複製能力を使い傷ついた組織の修復や、失った組織の再生ができます。
 
幹細胞は皮膚・脂肪・脳の神経・骨・肝臓など全身に存在しますが、治療では患者様への負担が少ないことから脂肪より幹細胞を採取・培養します。

また、iPS細胞やE S細胞といった万能細胞はいろんな物へ分化する能力がありますが、採取に倫理的な問題があるほか、腫瘍化する可能性があることから、再生医療には脂肪由来の幹細胞が主に選択されます。


こんな方におすすめです
・インスリンの自己注射をしている
・血糖値を下げる内服治療をしている
・糖尿病予備軍または糖尿病初期で食事管理や運動療法をしている
・人工関節や関節鏡などの手術を勧められたが抵抗がある
・入院するための休みが取れない
・今の治療に成果が感じられない
・慢性化してしまった症状を完治させたい
・薬剤アレルギーが心配で治療ができていない
・定期的にステロイド治療を続けている
・スポーツしていて早期治療を希望している


治療の流れ
おへそ周りの5~10ミリ程を切開し、米粒3つほどの脂肪を採取します。そして脂肪の中の幹細胞を取り出し、2,500万個から1億個まで培養をした後、患部に注射もしくは静脈注射(点滴)を行います。

培養に4~6週間かかりますが、手術や入院をすることもなく日帰りで簡単に治療ができます。

自己脂肪由来幹細胞治療のメリット・デメリット

自己脂肪由来幹細胞治療のメリット・デメリットを紹介します。

自己脂肪由来幹細胞治療のメリット
・自分の細胞を使用するので拒絶反応が起きない
・脂肪を採取する傷口は5~10ミリほどと小さい
・損傷した組織を修復、再生することができる
・入院することなく日帰りで行える

自己脂肪由来幹細胞治療のデメリット
・保険が効かず治療費用が高額
・幹細胞を培養する期間が必要であり、投与までに日にちがかかる


自己脂肪由来幹細胞治療のまとめ
自己脂肪由来幹細胞治療は再生を特徴とします。これまでは、一度擦り減ったら戻らないとされてきた軟骨などの修復・再生効果があります。

また、静脈注射で全身に幹細胞を巡らせることで、「治らない」とされてきた脳卒中での後遺症・糖尿病・認知症・心疾患にも効果があると報告されています。脂肪由来幹細胞治療は保険が効かず、 またPRP療法よりも高価ですが従来の保険診療ではできなかったことが脂肪由来幹細胞治療ではできる可能性が高まりました。

PRP療法(多血小板血漿)と自己脂肪由来幹細胞治療の違いについて

血小板成分を使い組織の修復を促すPRP療法と、幹細胞を使い修復と再生を促す自己脂肪由来幹細胞治療の違いを紹介します。

治療にかかる時間
PRP療法
・日帰りでの治療が可能である

自己脂肪由来幹細胞治療
・入院は必要ないが細胞の培養に4~6週間かかる


治療効果を実感するまでの時間
PRP療法
・投与した日から効果を実感できることが多い

自己脂肪由来幹細胞治療
・投与した日から効果を感じることもあれば、数ヶ月かけて効果が実感できる場合もある


治療効果の持続期間
PRP療法
・効果が一時的な場合がある

自己脂肪由来幹細胞治療
・何年にも渡り効果が持続する


治療にかかる費用(リペアセルクリニックの場合)
PRP療法
・16.5万円~

自己脂肪由来幹細胞治療
・132万円~


治療効果の違い
PRP療法
・組織の修復を高めているが、新たに再生させているわけではない

自己脂肪由来幹細胞治療
・組織の修復を高め、新たに再生ができる


PRP療法は修復力を高め、幹細胞治療は細胞を再生させるそれぞれの特徴があります。再生医療では、これまで「治らない」とされてきた病気に対して患者様の自然治癒力を高め、根本的な解決を図ることができる治療法です。